「毎日欠かさず勉強しているのに、スコアが全く変わらない…」
「公式問題集を何周もしたのに、なぜか本番で結果が出ない」
「もうこれ以上、何をすればいいのか分からない…」
TOEIC学習において、多くの人が「スコアの停滞期」という壁にぶつかります。真面目に努力しているからこそ、結果が出ない時の焦りや無力感は大きいものですよね。
しかし、あなたのスコアが伸び悩んでいるのは、決して「努力が足りない」からではありません。もしかしたら、その努力の「方向性」が少しだけズレてしまっているだけなのかもしれません。
この記事では、良かれと思って続けているのに、実はスコアアップから遠ざかってしまう「残念な勉強法」を8つの特徴として解説します。もし一つでも当てはまるものがあれば、それはあなたの「伸びしろ」です。
この記事を参考に「対策」として、ご自身の学習法を客観的に見直し、努力を確実にスコアへ繋げるための軌道修正を行いましょう。
特徴1:問題を解きっぱなしで復習をしていない
こんな勉強していませんか?
- 時間を計って模試を解き、答え合わせをして一喜一憂
- 「よし、今日も模試を1回分やったぞ!」と満足して、すぐに次の模試に取り掛かる
- 間違えた問題の解説をサッと読むだけで、復習を終えた気になっている
問題点
TOEIC学習の心臓部は、問題を「解く」ことではなく「復習する」ことです。解きっぱなしは、健康診断を受けて結果を見ないのと同じですね。自分の弱点を特定し、治療(=対策)しなければ、いつまで経っても同じ問題を繰り返し間違えるだけです。知識やスキルとして定着せず、ただ時間を浪費している状態に陥ります。
対策:解く1時間に対し、復習3時間
スコアが伸びる人は、「解く時間:復習時間=1:3」の意識を持っています。2時間の模試を解いたら、その後の数日間で合計6時間かけてでも、骨の髄までしゃぶり尽くす勢いで復習します。
- 間違えた原因を徹底分析:なぜ間違えたのか?「単語を知らなかった」「文法ルールを忘れていた」「聞き取れなかった」「時間が足りず焦った」「設問の意図を誤解した」など、原因を一つひとつ言語化します。
- リスニングの復習:スクリプトを見ながら音読し、意味を完全に理解した後、何も見ずにシャドーイング(音声の少し後を追いかけて発音する)を繰り返します。自分が聞き取れなかった音が明確になり、英語の音声処理能力が劇的に向上します。
- リーディングの復習:時間をかけ、一文ずつS(主語)V(動詞)O(目的語)C(補語)を分析する精読を行います。なぜその文構造になるのか、なぜその選択肢が正解なのかを完璧に説明できるレベルまで読み込みます。これにより、速く正確に読む力が養われます。

特徴2:単語を「眺めるだけ」で覚えようとしている
思い当たる節はありませんか?
- 単語帳(金フレなど)を、赤シートで隠しながら目で追うだけ
- 付属のCDや音声データを一度も聞いたことがない
- 「1日100語」と決めて、覚えられなくてもどんどん先に進んでしまう
問題点
人間の脳は、五感を使い、積極的に情報処理をしたものほど記憶に残りやすいようにできています。単語帳をただ受動的に「眺める」だけでは、情報は右から左へ抜けていくだけ。また、「文字」と「音」が結びついていないため、リスニングでその単語が出てきても反応できません。
対策:五感をフル活用し「出会い回数」を増やす
単語学習は「覚える」というより「慣れる」感覚です。何度も繰り返し接触することで、脳に「これは重要な情報だ」と認識させましょう。
- 必ず音声を聞く:単語の発音を聞きながら(聴覚)、自分でも声に出して(発声)覚えましょう。
- フレーズで覚える:単語単体ではなく、「金のフレーズ」のような短い例文の中で、使われるシーンをイメージしながら覚えます。
- 高速で回転させる:1日に完璧に覚えようとせず、「100語を15分で確認する」作業を毎日繰り返します。1週間で同じ単語に7回出会う方が、1日で7回見るより記憶に定着します。

特徴3:たくさんの参考書に手を出しすぎている
こんな状況になっていませんか?
- 本屋やネットで評判の良い参考書を見つけると、つい買ってしまう
- 机の上には、まだ数ページしか手をつけていない問題集が山積みになっている
- 「あの教材の方が良いかもしれない」と、1冊をやり込まずに次々と浮気してしまう
問題点
一見、熱心に見えますが、これは知識が断片的になる最悪のパターンです。どの教材も中途半端になり、一貫した知識体系が身につきません。TOEIC対策の基本は「1冊を完璧に仕上げること」。これにより、その分野の知識が体系的に身につき、応用力が生まれます。

対策:「3種の神器」に絞り、徹底的にやり込む
まずは、「公式問題集」「金のフレーズ」「文法特急」の3冊に絞りましょう。そして、その1冊がボロボロになるまで、何度も何度も繰り返してください。
「この本の内容なら、誰にでも説明できる」というレベルに達すれば、あなたのスコアは確実に上がっています。新しい教材に手を出すのは、それからでも全く遅くありません。
特徴4:学習計画が「気合」と「根性」頼み
こんな計画を立てていませんか?
- 「今日から毎日2時間勉強するぞ!」と意気込むが、具体的な計画がない
- 仕事が忙しいと、「疲れたから明日やろう」が続いて自然消滅
- 週末にまとめて長時間やろうとするが、結局できずに自己嫌悪に陥る
問題点
モチベーションは必ず波があります。気合や根性といった不確実なものに頼った計画は、ほぼ100%破綻します。学習を継続する秘訣は、意志の力に頼るのではなく、「仕組み化」することです。
対策:学習を「歯磨き」レベルの生活習慣にする
「頑張る」のをやめて、学習を生活のルーティンに組み込んでしまいましょう。
- トリガーを決める:「朝の電車に乗ったら単語アプリを開く」「昼食を食べ終えたらPart5を5問解く」「お風呂から上がったらシャドーイングを15分やる」など、「〇〇したら、△△する」というルールを決めます。
- スキマ時間をかき集める:通勤時間、昼休み、待ち合わせの時間、寝る前の15分など、1日の中にある細切れの時間を合計すれば、意外と大きな時間になります。
- カレンダーに登録する:スマホのカレンダーに「19:00-19:30 TOEIC学習」と具体的な予定として入れてしまいましょう。

特徴5:リスニング学習が「聞き流し」だけ
こんな学習方法になっていませんか?
- 通勤中や作業中に、ただBGMのようにTOEICの音声を流している
- 内容を理解しようと集中して聞いてはいない
- 「たくさん英語を聞けば、いつか自然に聞き取れるようになるはず」と信じている
問題点
赤ちゃんが言語を習得する環境と、大人の第二言語習得は全く異なります。意味を意識しない単なる「聞き流し」では、雑音を聞いているのと同じで、リスニング力はほとんど向上しません。自分が「何を聞き取れていないのか」を自覚し、それを克服するという能動的なプロセスが不可欠です。
対策:「シャドーイング」と「ディクテーション」を導入する
聞き流しをやめ、「積極的(アクティブ)リスニング」に切り替えましょう。
- シャドーイング:聞こえた音を忠実に真似て発音することで、英語特有の音声変化(リエゾンやリダクション)に対応できるようになります。
- ディクテーション(書き取り):聞こえた音を書き出すことで、自分が聞き取れていない箇所(冠詞のa/the、複数形のs、時制など)が明確に可視化されます。
この2つのトレーニングは負荷が高いですが、効果は絶大です。毎日15分でも続けることで、リスニングの世界が変わります。

特徴6:リーディングの時間不足を放置している
このような状況に陥っていませんか?
- 模試を解くと、いつも最後の10〜15問が塗り絵になってしまう
- 原因を「読むのが遅いから」とだけ考え、ひたすら速読のテクニックを探す
- 時間内に解くことを焦るあまり、雑に読んでしまい、簡単な問題も落とす
問題点
時間不足の根本原因は、単なる「速さ」の問題ではありません。多くの場合、「語彙力不足」「文法力不足による返り読み」「時間配分戦略の欠如」という3つの複合的な問題です。この根本原因を解決しない限り、いくらテクニックを学んでもスコアは頭打ちになります。
対策:時間不足のボトルネックを特定し、潰す
まずは原因を特定しましょう。
- 語彙・文法力不足か?:時間を無制限で解いてみてください。それでも正答率が低い場合、基礎力不足が原因です。急がば回れ。単語と文法の基礎固めに時間を使いましょう。
- 返り読みの癖か?:精読のトレーニングが効果的です。英文を頭からスムーズに理解する訓練を積むことで、結果的に読むスピードが上がります。
- 時間配分戦略の欠如か?:Part5は1問20秒、Part6は1セット2分半、Part7のシングルパッセージは1題2分…など、パートごとの目標時間を設定し、それを守る練習を繰り返しましょう。
特徴7:自分のレベルに合わない勉強をしている
心当たりはありませんか?
- 現在のスコアが400点台なのに、900点を目指す人向けの上級者用教材に手を出している
- 基礎的な単語や文法が曖昧なまま、難しい長文問題ばかり解いている
- SNSで紹介されていた「上級者向け勉強法」を、そのまま真似しようとする
問題点
自分のレベルに合わない学習は、効果が薄いだけでなく、挫折の最大の原因になります。分からないことだらけで自信を失い、英語学習そのものが嫌いになってしまいます。学習は、簡単すぎず、難しすぎない「少しストレッチしたレベル」で行うのが最も効率的です。
対策:現在地を直視し、身の丈に合った学習から始める
プライドは一旦捨てて、自分のレベルを正直に受け入れましょう。
- 500点未満の場合:まずは中学・高校レベルの単語と文法の復習から。TOEIC対策としては「金のフレーズ」の前に「銀のフレーズ」から始めるのがおすすめです。
- 600点を目指す場合:Part5とリスニングセクションで確実にスコアを稼ぐ戦略が有効です。Part7の難しい問題に時間をかけるより、基礎的な問題を取りこぼさないことを意識しましょう。
特徴8:「TOEICのための勉強」と割り切れていない
こんな迷いを抱えていませんか?
- 「TOEICに出ないような、もっと実践的な英会話を学びたい」と寄り道する
- 「ネイティブならこんな表現はしない」と、TOEIC特有の言い回しを批判する
- 完璧な英語力を目指すあまり、スコアアップという目的を見失う
問題点
もちろん、最終的な目標が「使える英語」であることは素晴らしいことです。しかし、TOEICでハイスコアを目指すと決めたなら、まずは「TOEICというゲームを攻略する」と割り切る潔さが必要です。TOEICには明確な出題範囲と頻出パターンが存在します。そこから外れた学習に時間を費やすのは、試験対策としては非効率です。
対策:TOEICは「英語力測定テスト」ではなく「情報処理能力テスト」と捉える
TOEICは、限られた時間内に、大量の英語情報をいかに正確かつ迅速に処理できるかを測るテストです。スポーツの試合に臨むアスリートのように、まずはルールを熟知し、勝つための戦略とテクニックを磨くことに集中しましょう。
スコアという分かりやすい結果を手に入れてから、英会話や洋画鑑賞など、次のステージに進めば良いのです。
まとめ:あなたの努力は、決して無駄じゃない
8つの特徴、いくつ当てはまったでしょうか?
もし「自分のことだ…」と耳が痛くなったとしても、落ち込む必要は全くありません。それは、今まで気づかなかった「スコアアップのヒント」を発見できたということです。

スコアが伸び悩む時期は、誰にでも訪れます。大切なのは、そこで諦めるのではなく、一度立ち止まって自分のやり方を見直し、「正しい方向で努力を継続する」ことです。
今回ご紹介した「対策」を参考に、明日からの学習を少しだけ変えてみてください。その小さな軌道修正が、あなたの停滞期を打ち破り、目標スコア達成へと繋がる大きな一歩となるはずです。心に刻んで英語学習しましょう。
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